米国国防総省による核態勢の見直し(52)

 

米国国防総省のウェブサイトに2018年2月に掲載された「核態勢見直し(NPR)」を当ブログで和訳したものを、順次紹介しています。

 

 ---------------------------

 

           核態勢見直し

       NUCLEAR POSTURE REVIEW

 

          2018年2月  

 

            国防長官府
     OFFICE OF THE SECRETARY OF DEFENSE

 

        -------------

 

 

II. 展開する不確定な国際安全保障環境

   An Evolving and Uncertain  International Security

   Environment

 

大国競争への回帰

The Return of Great Power Competition

 

2010年以来、大国競争が復活した。ロシアと中国は、冷戦後の国際秩序と行動規範を大幅に改めることを目指すことを、程度は異なるが明確にした。ロシアは、核先制使用の不明確なあるいは明確な脅威を背景にして、ヨーロッパの地図を塗り替えるために武力を使用しまた近隣国にロシアの意思を押し付ける用意があることを明示した。ロシアは、国際的な法的また政治上の約束に違反し、他国の安全保障に直接に影響を及ぼしている。ロシアの違反には、1987年の中距離核戦力全廃条約(INF)、2002年の領空開放条約(オープンスカイ条約)と1991年の大統領核イニシアティブが含まれる。ロシアによるクリミアの占領そして東ウクライナでのロシア主導戦力の直接支援は、ロシアが1994年のブダペスト覚書でのウクライナの領土保全を尊重する決意に違反している。

 

続く